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2020-05-28

新型コロナによる収入減で、賃料3ヶ月滞納したら賃貸借契約は解除されてしまうか?


たじつ
たじつ

こんにちは。不動産の顧問業をしております、宅建士の田実です。

東京の緊急事態宣言が解除されましたが、まだ電車に乗る人や外で活動する人はコロナ前に比べて幾分少ないと感じます。

ワクチンが開発されるまではウィルスを消失させることはできませんから、特に人の集まる場所の回復はまだ先となりそうです。価値観がガラッと替わってきたことを感じます。

コロナによる収入(売上)減の中、固定費である賃料の支払いは重たいものがあろうかと思います。一般的には、3ヶ月の滞納が積み重なると”賃貸借契約解除”の要件が揃ったという見方がされますが、今回の新型コロナウィルスによる影響がはっきりしている滞納では、どのような扱いになるでしょうか?

1 信頼関係崩壊理論

基本的には、賃貸借契約の解除が認められるか否かの裁判所の判断は、貸主と借主の間の「信頼関係」が「崩壊したかどうか?」を基準にして判断します。

コロナに限らず、3ヶ月滞納したらすぐに「信頼関係が崩壊した」となるわけではなく、それまでの関係性や支払う意思なども考慮されます。

つまり、借主は賃貸物件を利用する替わりに”賃料を支払う”という義務を負っていることであり、賃料を滞納することは、賃貸借契約上の「義務違反」にあたり、その義務違反の程度が問題になるということです。

では、コロナ禍による賃料の滞納についてはどうでしょうか?

2 3ヶ月滞納が基準であるが

裁判所は、①3ヶ月の滞納 と ②支払う意志がないことが揃うと、賃貸借契約の解除を認める傾向にありますが、これは平常時、通常の経済活動が行われている中でも解釈であります。

100年に1度あるかないかのパンデミックにより、国は緊急事態宣言を発動し、外出制限や休業要請をしている状況下では、社会背景が大きく異なります。したがって、「3ヶ月基準」でないことは明らかではありますが、では何ヶ月分まで、というはっきりしたことは不明であります。

これまで起こったことのない状況下でありますから、借主の方は国や都道府県で出される支援策※1を活用し、また借入金返済のリスケや借り換えなどの策を講じ、賃料の支払いをするよう努力をしていることが前提になろうかと思います。

[※1]▼事業者向け:①持続化給付金・②東京都感染拡大防止協力金・③特別家賃支援給付金(東京都)
▼非事業者対象:①住居確保給付金・②特別定額給付金

3 コミュニケーションを欠かさないこと

その上で、売上もしくは収入が下がった割合に応じて、減額してもらうのが妥当なのか、一定期間の未払い期間を置いて分割で支払っていくのかをベースに話し合いして決めるのが望ましいでしょう。

緊急事態ではあるから「賃料を払わなくても当然だ」と考えるのは決していけません。借主の立場にある方であれば、誠実にかつ現状を正確に伝えて、今後の見込みについて「相談」するのが姿勢としてなければなりません。

最後になりますが、今もウィルスと戦っておられる方の一日も早い回復を祈念するとともに、現場を支える医療従事者・専門家の皆様に深く感謝申し上げます。


弊社は、企業様の社外不動産部として、守り面をサポートする不動産顧問業務の委託を受けております。クライアント様が本業に専念できるよう、物件管理マネジメントを弊社が代行いたします。本業の事業利益拡大化を、パートナーとして全力でサポートさせていただきます。



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