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2024-04-04

専任媒介契約の落とし穴②


①では、専任媒介は任せっきりにできて、一般媒介だと複数の営業担当者とやりとりをしなければならないことに触れました。

不動産取引が成立するときは、売主様と買主様の間に、不動産業者が1社のみで仲介する場合と、2社以上が介在する場合と2パターンがあります。

1社のみの場合は、売却を依頼した業者が購入希望者も見つけてきて成約に至る場合です。2社の場合は、売主様が依頼した業者とは別な業者から紹介を受けた方が購入する場合です。

1社の場合は、仲介業者は売主様買主様双方から報酬をいただくことができ、2社の場合は、それぞれ(売主様は販売を依頼した業者へ、買主様は紹介された業者へ)へ支払うことになりますので、売主様が依頼した業者は、買い客から報酬を受取る機会を逸してしまったということでもあります。自ら見つけてこれたら双方から受け取ることができたからです。

1件の取引でより多くの手数料を稼ぎたいという意識はもちろん否定することではありませんが、まれにそれを優先するあまり他業者からの内見を拒んだりする嫌がらせをする商慣習がこれまで多く存在していました(今なお存在しています)。

このような行為のことを「囲い込み」と呼んでいます(前々回のメールでご紹介させていただきました)。

これは明らかに売主様に対する利益相反行為ですし、宅建業法違反行為でもあります。

囲い込みがなされるとどういうことが起きるか具体例でご説明します。

売主様から専任媒介を7,000万円で依頼したとします(その業者をAとします)。Aには6500万円でなら購入したい希望者を掴んでいますが満額には及びません。B業者には7000万円満額でも購入したい客を掴んでいるとします。

Aは一番いい条件を探してくる役目なわけですから、本来であればBを通して購入者につなぐ販売活動をすべきですが、あらゆる手段を講じて、内見をさせなかったりと囲い込みを行い、6500万円の購入希望しかないように進めてしまう。その結果不利益を被るのは誰でしょうか。

遠回りになりましたが、それを防ぐ方法が専任媒介で1社にしぼらないことであります。一方、一般媒介の場合は、他の業者からの話で進んでしまった場合は報酬がゼロになってしまうため、緊張感のある状態を保つことができます。

一般媒介にもデメリットはありますが、専任媒介にはこのような落とし穴が孕んでいることを念頭にしておくことも大事です。不動産業者は月に何件も契約を成立させることが一番ですが、売主様のご資産の売却機会は人生に一度か数回しかない大事な機会ですから。


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