賃貸募集物件、一般媒介で決まらない理由は何か?
前の記事で一般媒介契約(複数社に募集委託する形式)では、空室が決まりにくい理由について、仲介業者の特性から考察しました。
[参考] 記事『賃貸募集で一般媒介にすれば、募集間口は広がり空室対策になるのか?』
構造的に一般媒介では決まりにくい理由について触れましたが、果たして本当に正しいことなのかを、今回調べてみました。
前回の記事作成時(2020/2/13)に、募集在庫として残っていた物件が約1ヶ月経った今どのような状況であるのか、決まって市場からなくなっているのかを調べてみます。
小田急線「経堂」駅の、15㎡以上・9万円以内・徒歩15分までの単身向け住戸を対象にしています。
約1ヶ月前に調べた、上記条件の一般媒介募集在庫は、全部で13部屋ありました。そのうち何件が決まっているかを確認したところ、9件(約70%)がまだ募集中であることがわかりました。
今(2〜3月)は、賃貸市場で1年のうち最も動きのある繁盛期です。この時期に1ヶ月決まっていないのはやはり何らかの問題があるといってもいいのではないでしょうか。
決まらない理由は、その他流通している物件と比較して見劣りする物件であることが言えます。①家賃の割に物件の状況が良くない。②物件は良いけれども家賃が高い。理由は、ほぼこの2つに収束すると思われます。
決まっていない一般媒介物件の賃料設定を、近隣相場と比較してみたところ、9件のうち5件は相場より1割以上も高い家賃設定をしていることがわかりました。
経堂駅から徒歩 | 専有面積 | 賃料(共益費込) | 相場乖離率 |
1分 | 19㎡弱 | 70,000円 | 3.6% |
3分 | 約18㎡ | 82,000円 | 14.8% |
5分 | 18㎡弱 | 81,000円 | 35.9% |
6分 | 23㎡強 | 57,000円 | △20.5% |
8分 | 約17㎡ | 71,000円 | 35.4% |
10分 | 17㎡強 | 65,000円 | 19.6% |
10分 | 17㎡強 | 65,000円 | 19.6% |
14分 | 26㎡強 | 75,000円 | △7.4% |
14分 | 約24㎡ | 61,000円 | △17.1% |
[補足] 経堂駅徒歩15分以内の募集在庫物件すべての賃料を、駅からの距離で区別し算出した坪単価平均と比較しています。 坪単価平均【徒歩1〜5分平均:11,193円 徒歩6〜10分:10,261円 徒歩11〜15分:10,145円】※データは、本日現在のレインズ掲載の空き物件を利用
高稼働(1年を通して、賃料売上を最大化)させるには、適正な賃料設定が欠かせないと思います。多少高い方がいいと考える不動産会社もあると思いますが、弊社の考えは、適正賃料が高稼働の必須条件と思っています。
上の物件のように、賃料が相場より高くなっている理由の詳細は定かではありませんが、募集会社もオーナーも賃料設定について細かい配慮で決定していないことが理由ではないかと思います。
もしかしたら、オーナーが一方的に決めた賃料であるかもしれません。募集業者としては、他業者で決められてしまう、恐れのある一般媒介物件についてわざわざ賃料交渉をする労力はかけません。
私が専任募集の形態を取っているから、言うわけでは決してないのですが、一般媒介では募集業者側にとって「決めなければならない物件」という意識が低くなります。その結果、賃料設定ほかすべてのリーシング(空室を埋めるための活動)業務が、おざなりになってしまうものだと私は思います。
それでも一般媒介任せたいというオーナーさんであれば、まず賃料設定が正しいか、適正であるかを調べましょう!
[参考] 賃料設定のポイント記事については、こちらを合わせてご確認ください。『決まる賃料設定のポイント! より多く・より早く、人の目に止まるかという視点で設定する』
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