賃貸オーナー必見 敷金・礼金の設定ポイントは?
敷金とは?礼金とは?ここでは、物件オーナーの立場で、募集条件にかかわる礼金・敷金の設定と原状回復費用との関係について考えていきます。
敷金も礼金も、どちらも設定を高くしても入居が決まるならいいですが、初期設定が高すぎると入居希望者から敬遠されて、他の物件に流れてしまいます。
目次
礼金の設定ポイントは?
礼金とは、解約が満了したときでも返さなくていいものです。ただし例外として、2ヶ月を超える額を収受していた場合は、あとから裁判されたときに2ヶ月を超える分は認められない可能性があります。
礼金は、地域性と物件の競争力で設定します。その地域の募集中物件の多くが礼金を設定していれば、同じ程度に設定して問題ないでしょう。競争力で勝っている場合には、相場よりも高く設定しても平気でしょう。例えば、新築物件のときです。反対に、競争力が劣っているのは、3点式ユニットバスで、かつ徒歩15分以上かかるという物件などのことです(あくまで参考例として)。
[補足] 3点式ユニットバスとは、バス・トイレ・洗面台が一緒になったユニットバスのことを言います。「バス・トイレセパレート」物件とはたまに聞きますが、この場合は2点式(バス・洗面)ユニットバスと呼びます。
オーナーさんが、自分の所有する物件の競合物件の礼金設定を知りたい場合には、suumoやHOME’Sなどのポータルサイトを見ましょう。
東京都内の物件であれば、礼金はせめて1ヶ月が限界でしょう。まれに2ヶ月の物件を見かけますが、それでも決まる自信があるならいいと思います。要は、競争力があるかないかによって決まります。
敷金の設定ポイントは?
敷金とは、契約満了(解約)時に返却しなくてはならないものです。敷金の設定で気にするべきポイントは、借りてる方の債務を相殺できる点です。
例えば、契約満了時に、借主さんの原状回復負担額が50,000円と認められた場合、敷金から差し引いて、残りの残額を返却すれば敷金を返したことになります。
現在は、国土交通省から出されたガイドラインが広く周知されているので、この通りに処理すれば、ほとんどの場合、退去時の借主負担は、特約で定めたクリーニング費用のみです。
[補足] 退去時の専門業者によるハウスクリーニングについては、ガイドラインではオーナーが負担すべき項目にあります。しかし、貸主・借主で結んだ特約は違法ではありません。実務の現場では、”クリーニング費用は借主負担にする”ことが慣習となっています。
ハウスクリーニング費用は、単身向けの広さで3〜4万円が相場です。退去するときに、クリーニング費用の負担だけであることが想定できるならば、敷金は0.5ヶ月で足りることになりますね。
なぜなら、東京都内の物件は概ね6万円以上ですから、その0.5ヶ月分は3万円なので、退去時に借主側が「払いたくない」と言い出しても、敷金から相殺できるからです(もちろん同意なしに相殺はできません)。
ならば、敷金は半月分にして、募集時の初期費用負担を低くして、入居のハードルを下げるのは募集戦略上、有効です。しかし、仮に入居者さんがひどいひとだったらどうでしょう。日常的に清掃をしない、室内にカビが生えてしまっている、フローリングがベッコベコになっている、、、つまり、善管注意義務違反が認められるひどい利用であった場合は、修繕費は半月分では収まりません。
契約書は、基本的に性悪説に旨として作るのがセオリーです。通常、契約時には、善人か悪人かはわかりませんので、リスクがある前提で敷金の額を設定することが大切です。
ペット可物件の敷金設定・償却の活用
まだまだペット飼育が可能な賃貸物件は数が少ないです。なぜなら、ペットがひっかいたり、おしっこをしてしまったりと、お部屋の劣化が著しくなるため、オーナーは嫌がります。
ペット可物件は、流通量が少ないということは、つまり競争力があると言えます。敷金設定の面では、通常1ヶ月が相場のところを2.0ヶ月にすることが可能です。
また、敷金2ヶ月分にして、解約時に1ヶ月分はオーナーの収益、残りの1ヶ月を返却する、という取り決めをすることができます。これを敷引や償却と呼びます。ペット可物件ではよく見かける条件設定です。
敷引(もしくは償却)方式は、平成23年に有効判決が出ているので違法ではありません。ただし、取りすぎない場合です。敷金5ヶ月のうち3ヶ月分を償却する、というのは認められないでしょう。
まとめ
オーナーとしては、退去時の食いはぐれは避けたい。しかし、ハードルを上げすぎると入居が決まらない、と悩むところだと思います。
ひとつの解決策は、保証会社を利用することです。保証会社とは、借主が賃貸契約書上の債務を履行しない場合に、代位弁済してくれるもの、つまり連帯保証人に似た立場のものです。
保証会社はたくさんありますが、借主の原状回復費用についてもカバーされていることがほとんどです。入居者が費用負担を認めない、と言った場合でも、その主張が正当であれば(国交省のガイドラインにのっとっていれば)、保証会社が代位弁済してくれます。
保証会社は、初回料金が賃料総額の半分です。賃料10万円、共益費1万円なら、5.5万円が初回料金でかかります。これが入居者負担となります。保証会社必須にすることで、初期費用が上がることがネックになるのであれば、敷金を0.5ヶ月軍にすれば、入居者の負担は敷金0.5ヶ月+保証会社利用料0.5ヶ月=合計1ヶ月分となり、敷金相場は近隣と同一でありながら、保証会社をつけて、契約上のリスクを軽減することができます。
したがって、募集条件を設定する手順のセオリーは、①礼金が取れる地域なのかを見極めて設定する ②敷引(償却)方式にすることを見極める ③保証会社をセットにしてリスクを回避する(+敷金設定額を下げる) のが基本の考え方です。
さいごに、オーナーとして、原状回復費用を確保するためには必須のクリーニング負担特約条項ですが、年々この費用負担を借主に認めることが難しくなってきています。なぜなら、原状回復費用は原則オーナーが負担するべきものであって、クリーニング費用はその大原則に反するからです。
特約で結んだはずの、借主クリーニング負担条項が認められないケースが出てきています。これは、裁判で認められるための、いくつかの大事なポイントがあります。お知りになりたい方は、、、↓↓↓
弊社は、プロパティ・マネジメントに徹した管理会社です。協力(仲介)業者とのパートナーシップ構築、入居者からのクレーム対応迅速化により、高稼働・解約防止のためのマネジメントを行います。