賃貸管理会社の業務について②家賃管理業務編
今日は、賃貸管理会社の業務について2回目、家賃管理業務偏です。前回は、募集業務編でした。
賃貸マンション経営の根っこの目的は、オーナーによって様々ではありますが、”安定収益を上げること”はすべてのオーナーに当てはまることでしょう。その意味でも、家賃管理業務は、賃貸管理の中でとても大事な部分と言えます。
入居者さん全員が期日通りに払ってくれれば、難しいことは何もないですが、その通りにはたいてい行かないので、手間のかかる業務になってきます。
目次
滞納督促は「いつ」「なにを」するかを決めておく
滞納督促の大切なことは、「いつ」「なにを」するかを決めておくことです。例えば、当社では1,5,12,10,20日を賃料支払確認の日に決めています。
まずは毎月1日に必ず行います。うっかりの場合があるので、このあたりは”通知”程度にしておきます。しかし、必ず1日に行って、入居者さんには「少しでも遅れたらいけない」と思わせることが重要です。
次に5日です。当社では、集金代行サービス(アプラス)を利用しています。引き落としの場合は、毎月2日〜5日にならないと、引き落とし結果がわからないため、5日は引き落とし対象者の入金チェックと”通知”です。1日に、賃料支払未了の通知をした後に返事がない方には、ここで”督促”を行います。
次に12日に再び入金チェックと督促です。その後20日にも同様に、という具合に日にちを決めて行います。
しかし、体調不良や離職などの原因も考えられますので、「まだですか?」という高圧的な態度は取らず、あくまで紳士的に「いつお支払いできるか?」の確認というニュアンスを込めてやり取りするようにしています。
期日通りに支払えない方のほとんどが、罪悪感はあるものの、すこしお金にルーズなために、負のループに入っている方が多いという印象です。強引に、○○までに払わなかったら△△する!という風には行わず、あくまでコミュニケーションを重視するように心がけます。
入金管理する側としては、「○日までに支払います」とか「○日がボーナスなので、2ヶ月分まとめて払います」などの、支払い見込みが聞ければ、まずは一安心するわけです。そのためには、良好な関係を作っておいて、滞納者が話しやすい環境を作っておくことが大切だと考えています。
連絡にはLINE・ショートメールを活用する
当社では、入居者さんとの連絡は、電話より携帯電話のSMS(ショートメール)やLINEを効果的に利用しています。なぜなら、LINE(以下、SMSも含む)なら、相手の状況に関係なく、こちらの意図を伝えることができるからです。
通常、社会人の月初は忙しいと思います。1日から滞納の電話がきても、いい気分はしないでしょう。しかし、管理会社としては、伝えることは伝えなければならないのです。
LINEであれば、仕事が終わってから「うっかり忘れていました」という返事もしやすいですし、夜中であってもLINEに営業時間はありませんので、メッセージを受け取れます。入居者の方からしても、連絡したのに営業時間外だった、などというミスコミュニケーションもなくなります。
[補足] LINEビジネスアカウントを取得すると、複数のアカウントを持つことができるため、例えば、マンション1棟ごとにアカウントを持つという使い方が可能です。
このように、テキストメッセージのやり取りで、ほとんどの場合の滞納解消が互いにストレスなく可能になります。
連帯保証人について
滞納された方との契約に連帯保証人の設定がある場合には、契約書上は連帯保証人へ滞納分を請求することができます。しかし、これは最終手段として残しておくべきと考えています。
細かい説明は割愛しますが、安易に「連帯保証人に連絡しますよ」を多用してしまうと、滞納者自身の責任が薄らぐでしょうし、賃貸借契約解除も辞さないという段階までこの手は取っておくのが得策と考えます。
もっとも、4月から民法が改正され、連帯保証人は一定額までしか責任を持たなくてよくなります。つまり、現行民法では連帯保証人への負担が重すぎると考えていて、これを緩和させる方向に変わります。
このような改正からも、連帯保証人から無理やり回収する、という方針のやり方ではなく、当事者で解決することを前提としたやり方が望ましいと言えます。
保証会社の活用
当社では、大手法人契約を除くすべての新規契約に保証会社を利用しています。これにより、滞納による未収リスクは限りなく下げられます。また、強制執行による賃貸借契約解除手続きまでも行ってくれます。
民法の改正を控え、今後ますます連帯保証人への責任追及が弱まるので、保証会社の利用は積極的に活用するべきと考えています。
リーシングの面では、初期費用が増えるために空室対策と滞納対策(保証会社利用)はトレードオフの関係ではありますが、ケースに応じて敷金の額を0.5ヶ月分に減らす、という対応で柔軟に判断していくことも大切です。
[補足] 保証会社の利用料は、入居者負担であり、初回契約時に賃料総額(共益費含む)の半額です。また、1年ごと1万円の更新料(※保証会社によって異なる)がかかるため、入居者にとっては負担増となります。敷金ほか契約条件の設定ポイントについては、記事『決まる賃料設定のポイント! より多く・より早く、人の目に止まるかという視点で設定する』もご参考にしてください。
弊社は、プロパティ・マネジメントに徹した管理会社です。協力(仲介)業者とのパートナーシップ構築、入居者からのクレーム対応迅速化により、高稼働・解約防止のためのマネジメントを行います。