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2020-04-23

ソーシャルレンディング金融商品について不動産のプロから見た見解


たじつ
たじつ

こんにちは。不動産の顧問業をしています、宅建士の田実です。

職業上、不動産のニュースは常にチェックしています。また、一応不動産運用の端くれでありますので”資産運用”についても、一定のアンテナを立てております。

今日、ソーシャルレンディングに関するある広告に目が止まりました。

「待つだけ、資産運用。実績平均利回り6.99%」

不動産現物(実物資産)運用、はミドルリスク・ミドルリターンと言われますが、都内物件の現在の利回りは、おしなべて4〜6%が相場です。また、コロナ渦で大暴落したJ-REITの配当利回りは現在のところ、3%台後半〜4%が相場といったところでしょう。

安定したJ-REITでも3%〜4%が精一杯なのに、6.9%とはかなり高い利回りです。

(投資商品というより、経済のトレンドとして)興味が湧いたので、調べたところ”ソーシャルレンディング”と呼ばれるもので、インターネットで投資家を集め、集まったお金をプロジェクトに投資し、そこから得られる利益を配当として分配するクラウドファンディングのひとつであることがわかりました。

しかし、集まったお金を投資して配当するというだけでは、ソーシャルレンディングとクラウドファンディングの違いがいまいちはっきりしません。

ソーシャルレンディング(social lending)とは、直訳すると「社会的な融資」です。今までは個人・法人が、お金を集めるには金融機関(銀行やノンバンク)から融資を受けるか、または出資を受けるしかメジャーな調達手段がありませんでした。

それに対しソーシャルレンディングとは、銀行融資や出資の方法に限らず、広く社会から集められる手段という位置づけになろうかと思います。

それではクラウドファンディングとは何が違うのでしょうか? クラウドファンディングとは文字通り、クラウド(=インターネット)で資金調達(ファンディング≒基金設立)する、というものですから、ソーシャルレンディングは、クラウドファンディングの一部だと言えます。

ソーシャルレンディングは、クラウドファンディングの一部です。

クラウドファンディングには、リターンの種類によって大きく分けて、「購入型」「寄付型」「融資型」「投資型」の4つの種類があるようです。

「購入型クラウドファンディング」はメジャー

いわゆる”クラウドファンディング”として、周知されているのがこの購入型クラウドファンディングです。

参加者は出資をすることで支援者の商品やグッズ・サービスを受け取れるものです。

その他「寄付型」「投資型」の説明を知りたい方はページをご参考ください。「クラウド・ファンディング 種類」などで検索ください。

ソーシャルレンディングとは「融資型クラウドファンディング」のこと

私が広告で気になったソーシャルレンディングとは、「融資型クラウドファンディング」のことでした。

融資型クラウドファンディングとは資産運用したい個人(投資家)から小口の資金を集め、それを大口化して、借り手企業に「融資」する仕組みのクラウドファンディングのことを言います。

集めたお金を融資するという性質を持っているため、金銭的リターンを得ることが目的であるのが、”購入型”クラウドファンディングと異なる点です。

なぜソーシャルレンディングが注目されているのか?

ここからが本題ですが今なぜソーシャルレンディングが注目されていて、比較的安定とされているJ-REITよりもなぜ利回りが高いのか? 不動産業者の見解から考えてみたいと思います。

なぜ銀行融資ではダメなのか?

ソーシャルレンディングの投資対象を調べていくと、なんとなくその答えが見えてきます。

事業のアイデアを持っていて、資金があれば、事業を開始させることができますが、銀行は基本的に「すでに事業をしている(実績がある)」か「貸しても安全(与信が高い)な」人(や企業企業)にしか融資をしません。

ソーシャルレンディングの投資先をみると、太陽光発電や風力発電などの「再生可能エネルギー発電ファンド」プロジェクトや物流施設・海外のコンドミニアムなど不動産を主体としたプロジェクトであることがわかります。

ここでポイントなのは、日本の金融機関は、アパートやマンション投資であれば建物の完成前から融資する仕組みが「ローン」として出来上がっていますが、太陽光発電のようなプロジェクトの開発段階からは融資しにくいという性質をもっています。

ソーシャルレンディングが普及するまでは、事業を着手してから太陽光発電として収入が上がるまでの期間の資金需要(つなぎ融資といいます)を満たすものがなかったのでしょう。

不動産プロジェクトは担保で保全できる

また、不動産プロジェクト融資の安全性のひとつは「担保を取れる」点です。万が一融資先の返済が滞ったとしても、担保を市場に売却して(抵当権の実行)、売却益から回収することが可能です。

不動産プロジェクト自体は、企業への融資と異なり収益性が見込みやすいです。稼働開始さえすれば「利回り商品」として、イグジット(売却)できるため、投資家への元本保証の保全を保ちやすい性質と言えます。

ソーシャルレンディングとは、不動産プロジェクトに対する融資に限るものではありませんが、ソーシャルレンディングの投資先が不動産である金融商品は、「6%」という高い配当利回りを維持できていることは、そもそも「不動産投資」が安定的にリターンを得られる資産運用のひとつであることを証明しています。

ただひとつ言えることは、ソーシャルレンディングは投資口が1万円単位と少額です。現物不動産投資がほかの資産運用より秀でているのひとつは、銀行借入れによってレバレッジを聞かせることが出来る点です。

1000万円をソーシャルレンディングファンドに投資して、6%の配当利回りを得ても、1年後に得られる利益は60万円です。

一方、5%利回りの現物不動産を1,000万円の自己資金と銀行融資4,000万円の合計5,000万円ので購入した場合の1年後の収入は250万円となります。

ここから返済や経費を引くことになりますが、実質3%の運用ができたとして150万円ですから、1,000万円6%のソーシャルレンディング商品運用に比べて、倍以上の配当が得られることになります。

レパレッジ効果で少ない資金がより大きな投資を行えることが、現物不動産運用の魅力です。

ということで、ソーシャルレンディング金融商品の配当利回りが高いのは”投資先が不動産だから”ということでした。


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