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2020-04-21

コロナ禍でタワマンは暴落するのか!?


たじつ
たじつ

こんにちは。不動産の顧問業をしております、宅建士の田実です。

コロナの経済への影響はまだまだ計り知れないものがあります。不動産業界への影響は、特にホテル・商業系セクターが大きく、ホテル業界や一時貸し(シェアスペース)系・イベント会場系では大打撃の様相です。

「コロナ禍で不動産バブルは終わるのか!?」という声やニュースは至る所で目にしますが、一体全体どうなっていくのでしょうか? あくまで、私の見解をまとめておきたいと思います。一応、不動産業界に18年ほど浸かっていますので、ある程度の信ぴょう性はあるものと思ってもらえたら幸いです!

ところで、まずひとくくりに”不動産相場は下がるのか!?”という問いに答えるのは、少々難しいところがあります。

リーマンショックとは比較にならない被害ですから、当然に不動産相場は下がります。確実に下がります。しかし、大暴落なのか?と言われれると、わたしはそうではないという考えです。何割以上の下落が大暴落なのか?という定義の問題もありますが、その前に、不動産全体とひとくくりの回答ではなく、「商業・事業用・住宅用」と、用途に分けて考える必要があります。

その中でタワマンは下がるのか?という本題ですが、やはりコロナの影響によって、相場は下がります。とはいえ、現在の都心マンションの住宅相場は、アベノミクス前と比べて、1.6倍程度上昇しています。

(参考)2012年と比較した2019年の「中古マンション成約単価」比較
①都心3区(千代田・中央・港)約1.70倍 ②城南地区(品川・大田・目黒・世田谷)約1.43倍 ③城西地区(新宿・渋谷・杉並・中野)約1.58倍 ④城東地区(台東・江東・江戸川・墨田・葛飾・足立・荒川)約1.62倍 ⑤城北(文京・豊島・北・板橋・練馬)約1.66倍
※東日本流通機構のデータを元に算出
※地区の分け方は便宜上です。

タワマンは誰が購入しているのか?

三菱地所レジデンスが、タワーマンション購入者にとったアンケートによると、都心・湾岸地区のタワーマンションを購入した人のうち、50.8%は全額キャッシュで購入しているという結果があります。

参考リンク:データで見るタワーマンション購入者の実像――意外? 都心でも年収1,000万円以下が多い!?  
※記事内容は、1000万円以内のミドル層が購入しているというものですが「都心型の実に半数以上はキャッシュ購入である」という事実が強インパクトです。

7,000万〜1億以上の物件を買う方がいるのですから、ミドルから高所得層と言って間違いないですが、キャッシュで購入しているのは、また一段も二段も異なる上流層(純資産3億以上)と呼ばれる方々ではないかと思います。

不動産の価格相場の決まり方・影響を与える要因

不動産のニーズは、実需と投資にわけられます。実需とは、自分が利用するため、つまり「住む」ために取得することを指します。また、投資とは、所有して賃貸して賃料リターンを目的に取得することです。

不動産は、実需+投資の需要が不動産相場を作ります。タワーマンションは、セキュリティーの高さや利便性・ステータス性などから投資用に人気があります。

賃貸市場の物件には、ハイエンド向けに作られた物件が少ないため、タワーマンションで賃貸に出される物件は、“お金に余裕はあるけど購入しない賃貸ニーズ派“に合致しており、一定の価値があります。

タワーマンションは、一般的な分譲マンションに比べて、実需・投資の両面から購入需要があるため、価格が下がりにくいということが言えます。

ところで、不動産の価格、いや住宅用物件の売買相場はどのように決まるでしょうか? これは感覚的な言い方で誠にこころもとないのですが、「住宅用不動産は、雰囲気(景気ムード)で上下するもの」です。

相関関係があると言えば、日経平均株価と連動していると言えます。日経平均が上がれば価格相場がつられて上がります。日経平均はアベノミクス以前の8,000円台から24,000円台まで、実に3倍近くもあがりました。不動産価格は都心に関しては1.7倍になりましたが、各世帯の年収は2倍もしくは3倍近くになっているでしょうか?

「景気は上向いている感じがする。銀行融資(ローン)は下りやすく周りは購入している人が多いようだ、なら我が家も購入しようか」という方が増え、価格が上昇していきます。

その意味では、今回の新型コロナウィルスの影響で下がりますが、いつか必ず解決するものであり、一時的に下がりはしますが、(住宅相場は)大暴落とまでは行かないというのが私の考えです。

前後しますが、株取引では下がり目は絶好の「買い」場でもあります。都心のタワーマンションが下がるとしても、投資目的の購入層がある程度価格を下支えしますから、暴落ということにはならないわけです。

タワーマンションは、実需・投資に加えて”節税目的”の需要がある

加えてタワーマンションの特徴的なポイントは、実需層・投資層に加えて、節税目的の需要があるという点です。

一般的に、ある1棟のマンションの同じ部屋の価格は高層階に行けばいくほど値段が高くなります。タワーマンションは30階建て・40階建てとなりますから、低層階と高層階とでは大きな差があります。

しかし、相続税評価額(=固定資産税評価額)がこの通りではありません。平成29年度に法改正され、高層階ほど高く評価されるように変更されましたが、それでも1層高くなるごとに0.256%上がるようになった程度です。20F上がっても5%しか評価額はあがりません。

(補足)具体的には、真ん中の階(中間層)を基準に、1階高くなる毎に0.256%ずつ上がり、1階低くなる毎に0.256%ずつ安くなります。

このように実際の購入価格と相続税評価額との乖離が大きいことを目的にした”相続税対策”が今なお効果的であります。また、おしなべて時価1億の不動産を購入すると、固定資産税評価額は、5,000万円〜6,000万円相当まで下がります(時価は1億円あっても、評価額は半分くらいに下がるわけです)。

現金を不動産(タワマン)に替えて、相続税評価額を約半分に下げる。更に他人に賃貸すれば、15%ほど評価額を下げることが可能です。

平成25年に相続税が改正され、法定相続人が3人の場合で4,800万円を超えると相続税が発生するようになりました(改正前は、8,000万円ですので、40%も課税基準が下がったことになります)。

相続人に1億円の現金があったとして、タワーマンションに替えることで、相続税上の評価額が5,000万円程度に下がります。法定相続人が3人では足りませんが、4人いれば相続税は課税されなくなります。

このように、上流層は、景気が悪い時でもタワマンを購入「することができ」、相続税対策の必要性からタワマンを購入「するのが得策」であり、都心の賃貸住宅需要は底堅いため、投資用としてタワマンを購入「しておいて損はない」と考える。したがって、タワマンは大暴落することはない、というのが私の考えです!

さいごに

トレンドは読めても私には潤沢な資産がないので、タワマン購入にはしばらく縁がなさそうですが(泣)

弊社は、企業様の社外不動産部として、守り面をサポートする不動産顧問業務の委託を受けております。クライアント様が本業に専念できるよう、物件管理マネジメントを弊社が代行いたします。本業の事業利益拡大化を、パートナーとして全力でサポートさせていただきます。


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