不景気でも「賃貸マンション経営」が強いと言える理由
こんにちは。不動産の顧問業をしております、宅建士の田実です。
本来ならば、今頃GWの大型連休を楽しみにする頃ですが、なんともぱっとしない4月末ですね……。コロナショックにより、一様に企業株価は下がってしまいました。2020年1月には日経平均株価は、24,000円台の大台を超えたというのに、3月19日には大暴落です。
”企業経営”も”マンション経営”も、どちらも売上・支出がある経営行為であり、どちらも資本を投下し、経営効率を上げて利益を追求することに変わりはないですが、金融市場では同じ”リスク資産”と見られ投げ売りされたようですね。
客観的に、企業経営の指標を表すものとして“日経平均株価”があり、マンション(賃貸不動産)経営の指標としては“東証REIT指数”があります。
コロナショックによって、日経平均株価は2020年1月19日に“24,083円”だったものが、3月18日には“16,552円”まで下がり31.2%の下落率となり、東証REIT指数に関しては、年初来高値であった2月21日の“2,255”からやはり3月18日には“1,138”へと実に49.5%の下落率となりました。
どちらも機関投資家の動向が価格や指数に影響を与えていて、数値は一時的なものであり、実在の価値とは異なるものではあると思うものの、東証REIT指数の下がり方は、不動産業に携わるものとして目を疑うものでした。なにせ、不動産の価格が半分以下になってしまうわけですから、実物不動産ではありえません。REIT価格が半値になったので、配当利回りは倍に跳ね上がった訳です。
私は不動産業会社を経営しているから、マンション経営を“色眼鏡”で見ているわけではありませんが、マンション経営はコロナショック下でも安定しているものです。
以下、企業経営と比べながら、マンション経営の“底堅さ”について話したいと思います。
目次
1 売上が安定している
不動産賃貸経営は、売上が常に一定であります。中でも”マンション経営”の売上は、言うまでもなく“住宅”の賃料です。今、とても大変な思いをして自粛をしていただいている“店舗”ですが、不況下の“店舗賃貸経営”には厳しいものがあります。
現在、日本全国には合計約6,000万世帯あると言われており、このうちの持ち家比率はおよそ6割です。マンション経営の対象に近い “借家”比率は全体の35%(残りの5%は詳細不詳 ※総務省データより)。であり、実に2,000万超の世帯数があるわけです。2,000万超の住宅が急に不要になる事態はあまり想像ができません。
給料が減っても、生活しなければなりません。「生活しなければならない」というのはおかしな言い方ですが、“住宅”は経済活動に欠かせない最小単位のインフラであり、生活の器であるからです。
電気・水道・ガスそして今では携帯電話も、生活するのに欠かせないインフラですが、それらを利用するベースが住宅であるからです。
需要(売上)が安定することは、経営する上でなにより望むことです。難しいことを削ぎ落として考えれば、“売上”より“支出”を少なくし、それを続ければ経営は成功するわけですから、売上が“読める”ことは、投資の安定性を高めることに直結します。
2 人件費がかからない
企業経営には「人(財)」が欠かせません。自分も勤務時代がありましたし、仲介店のマネジメントもしていたので痛感しますが、人件費は投資効率の観点では非常にバラツキがあるものですよね。
かくいう私も“稼ぐ営業“ではありませんでしたから、人件費の投資効率がいかに「不確定」であるかよく理解しているつもりです、汗
マンション経営には、当然「人」が関わらないものではありません。管理会社・仲介業者の担当者など、必ず人を介して運営されるものですが、人を「抱える」必要はありません。
優秀な管理会社を見つけ、業務として発注することで、人に協力してもらうことが可能です。もちろんオーナー自ら管理業務を行って、支出を抑える運営も可能です。
売上が急減するリスクが低く、投資効率の悪い人件費のないマンション経営は、売上も支出も読める“投資”です。
3 支出の大部分が固定費
建物維持管理費(法定点検・法定メンテナンス)、日常維持管理費(清掃費・電気代・水道代)・空室リニューアル費用(原状回復費用)・入居者募集費用(仲介業者への報酬)・公租公課・所得税と、項目が決まっています。
それぞれの項目について、コストを下げることを前提として、効率化を図ることが賃貸経営の肝であり、考えなければならないことはシンプルです。
また、これらはある程度費用が読めるものであります。入居者の出入りによって多少の変動がありますが、空室率からおよそ予測することは難しくありません。
4 減価償却費
企業経営にもありますが、マンション経営では投資した金額のうち建物代金のすべて(厳密にはそうではない ※詳細はあとに)が“減価償却費”として経費計上できます。
減価償却費とは、言うまでもありませんが、実際にキャッシュ(現金)は出ていきませんが、毎年決められた額が“支出”として、損金計上できるものです。
仮に、資本金3,000万円と借入金3,000万円(=純資産6,000万円)の会社を作り、事業資金6,000万円のうちの約2割(=1,200万円)の設備を購入して、事業を開始したとします。
この場合の、初年度の減価償却費は159万円(1,200万×0.133)です。
耐用年数15年の定率法償却率:0.133
不動産経営の場合はどうでしょうか? 物件価格に対して、2〜3割の自己資金を銀行から求められますから、自己資本(=頭金)3,000万円に対して1.2億(LTV=3.0)の物件を購入したとします。ざっくり計算の減価償却費は初年度211万円です。
時価120,000千円の1棟マンションの土地:建物割合は「6:4」とする。
建物価格48,000千円の建物部分:設備部分の割合は「8:2」とする。
・建物部分:38,400千円×0.022≒84万
・設備部分:9,600千円×0.133≒127万 total 211万円
※住宅用建物のRC造・定額法償却率は0.022、耐用年数15年設備の定率法償却率は0.133
同じ3,000万円の投資に対して、会社経営の場合は159万円であり、マンション経営の場合は211万という結果です。減価償却のメリットを享受しやすいことがわかります。
という風に、いくつかもっともらしく書きましたが、マンション投資の最大の魅力は「不況に強い」ことです。しかし、住宅需要があってこその投資でありますから、これから先の家余り・人口減少時代を見据えた物件仕入れが重要なのは言うまでもありません。
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