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2020-03-02

借入金で購入し、路線価で評価する節税対策に黄信号


令和元年8月27日、東京地裁の判決、平29(行ウ)539号では、路線価方式による相続税(不動産)評価方法が否認されるという、驚きの判決が下されました。

不動産は路線価方式によって計算すれば、およそ半額〜6割になることが通常であり、これまで税金対策としてのマンション投資はこの業界ではごく普通のことであった。

しかし、近年のような土地あるいは投資マンション相場が上昇すれば、時価は上がり路線価との差が大きくなる。この東京地裁の例は、2009年に購入しており、リーマンショックの翌年であったため、極端に相場が下がる前の時期であったかもしれない。

いずれにせよ、この例と同じような否認事例が出る可能性があるため、要点を比較的平易にまとめてみる。

まず、路線価方式と時価が4〜5倍ほど乖離する物件の”購入”による節税対策は否認される可能性が高いこと。これが大原則であることを注意する。

本件、路線価方式が否認された事案では、遺産分割協議成立した半年後に相続人が当該不動産を売却していることや、相続人の子供(被相続人の孫)を養子縁組して、相続人を増やしているという個別事情があるが、本件はとくに相続税評価方法について、疑義の対象になっている。なお、現在上告中のようなので、まだ決着はついていない。

決着はついていないものの、政府の増税傾向は今後変わらない方針であることを考えると、相続の発生しない”法人名義による不動産運用”が、今後の定石になるのかもしれない。

法人名義であれば、不動産相続の発生ではなく株が相続の対象となる。また、所得の分散による所得税節税効果が基本となる。

今後の本件上告結果を注視していきたい。


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