売買の取引は、契約日と引渡日を別で設けることが一般的です。
契約日=売買することを約束した日
引渡日=売買代金の授受と物件の引き渡しをする日
ということを約2ヶ月程度の間を設けて行います。
手付金とは、契約時に買主が売主に支払うもので、売買代金の一部に充当されるものですが、ただの内金という側面だけではありません。
手付け金とは、民法で定められたもので、手付放棄あるいは倍返しによって、取引の解除を”契約締結後”に互いに認めるものです。
具体的には、買主は契約時に支払った手付金を放棄することで、契約がなかったことにできます。
反対に、売主は受け取った手付金を一旦返却して、さらに同額を買主に支払うことで、取引を解除することができます。
大きな金額が動く取引でトラブルを防止するために定められたと思えばよいでしょう。
売主様からすると、売買契約が締結できたら安心でしょうか。そうではありません。
まずはこの手付解除をされてしまう期間設定がありますから、それを過ぎるまでは安心できません。
また、脱線しますが、ローン条項付きの契約で、買主のローンが通らなかった場合には、白紙解約になりますので、手付金は返却しなければなりません。
このように手付金は売買を成立させるための要件であり、ひとつのハードルではありますが、取引が完了した(する)ことが確約したものではない点、注意が必要です。
売主様にとっては、売却したあといつまで不具合の責任を負うのか?という疑問があります。
この不具合のことを「契約不適合責任」といいます。
土地売買の場合だと、地中障害物・土壌汚染などがこれにあたります。
地中のことは取引前にはなにが潜んでいるかわかりません。これは売主様も同じです。
不動産取引では見えない不具合については、一定期間は売主が責任を負うという約定のもとで売買契約を締結します。
土地取引の場合だと、建物を立てる目的であることがほとんどだと思いますが、購入者が工事を進めるうちに、土地から地中障害物(ガラやその他)が出てきてしまったら、これを処分するのに費用がかかります。
これは購入者側にとっては、聞いていないことですし、はたまた売主側も知り得ないものであったりします。
両者にとって、知らない不具合が存在していたことになるので、通常取引では引き渡してから3ヶ月以内に発覚したものについては売主の責任と負担で修復(処分)する、との取り決めをします。
3ヶ月以降については、買主の責任と負担で行うことになります。
このように引き渡してから3ヶ月以内は、契約不適合責任による出費があるかもしれないと売主様は思っておくことが必要です。
逆に言えば、その期間を過ぎて初めて取引が完了した、と言えます。
※3ヶ月は、民間人同士の取引の場合です。売主が法人で、買主が個人の場合は、この期間を1年にするのが通例です。
査定価格を算出する指標について触れたいと思います。
私達は、査定をする際に「成約価格」「販売履歴」「売出し価格」の3つを指標にして査定額の検証を行います。
「成約価格」とは、文字通りですが、過去に実際に取引された事例価格のことです。
REINS(レインズ)といって、全国の不動産会社が利用できる情報共有のためのデータベースで、ここに過去の成約事例がストックされているため、別な不動産会社が取引した事例もここでわかるという仕組みになっています。
ただ、問題点としては、この成約情報登録は義務ではありませんので、すべての取引が網羅されていなく、情報が少ないという点です。
したがって、通常の不動産会社はこれの他に「販売履歴」を参考にします。これはインターネットに広告として公開されたものが蓄積されているので、水面下で取引された事例を除けば、ほぼ100%が網羅されている点で情報量が圧倒的に多いものです。
これら2つの事例を集めて、成約価格帯を想定しますが、最後の「売り出し価格」が最も重要で、これは今なお売却中の近隣事例のことをいいます。
つまり販売在庫物件とも言えますが、他の物件がいくらで売り出されているか、これが重要です。
近隣が高ければ、相対的に高い売り出し価格を設定することもできるでしょう。
不動産は、今売られているものの中での比較をされるものですから、過去にいくらで売れたというのはあくまで指標であって、現在いくら?がとてもとても重要です。
高めのチャレンジ価格が連続するとき相場が上昇していくことになるわけです。
ちなみに、2012年以降相場は上昇し続けていますが、世田谷区の土地相場は、2012年と比較して2023年現在は、6割弱も上昇しています。
(相場データは、国土交通省「土地総合情報システム」データより)
測量が条件になるかどうかは、売却する相手によって変わります。
まず、必須になるのは、売却先が不動産業者の場合です。
業者の場合は仕入れであり、建物を建てたり、小分けにしていずれ売却することが目的ですので、その商品である土地自体の境界が確定していなければ、不完全な商品になってしまいます。
そのため、業者に売る場合は、測量や境界確定が必須になってきます。
反対に、売却先が一般の方である場合は、測量は条件にならないことが多いです。購入する方からの要望で条件になるケースはありますが。
この場合、購入される方にとってはその土地を利用することが目的ですので、測量がされているかどうかは、利用目的にほとんどの場合影響しないからです。
業者に売却する場合は測量必須、一般の方なら基本的には測量不要です。
以上です。参考になれば嬉しく思います。
今回は、世田谷区内の土地価格上昇率2008年比(2008年当時と現在の坪単価上昇率比較)について、調べてみましたので、参考にしていただけたら嬉しく思います。
一般的な住宅用地を想定し、土地面積は300㎡以下、住居系の用途基地の取引に限定しています。なお、統計データは国土交通省から4半期ごとに発表される不動産の取引価格情報提供制度「土地総合情報システム」を利用しています。
※2023年12月時点の統計情報を基にします。
今から15年前から5年毎の成約坪単価平均値(=成約価格÷土地面積)を比較します。
まずは、2008年の坪単価-①
次に、2013年-②
3つめが、2018年-③
そして、2023年-④
※2023年は6月までの統計情報が基
5年ごとの上昇率は、
①から②が、−12.6%と減少(坪206万から坪180万)
②から③ は、23.3%増(坪180万から坪222万)
③から④ は、22.5%増(坪222万から坪272万)
という結果でした。2008年から2013年への減少は、リーマンショック前後の価格相場に比べて、東日本大震災後の相場が下がったことを指しているのだと思います。
①〜④の期間では②の2013年が一番底であり、現在と比較すると51.1%増加している結果となりました。
なお、2023年の成約坪単価は272万円であり、2010年以降の底である2012年(坪単価178万円)と比較すると、52.8%上昇という結果でした。
ところで、城南地区(世田谷・品川・目黒・大田区)の中古マンション相場の2012年2023年比は、8.1割上昇していますので、マンション相場ほどではないようです。(出典:国土交通省 レインズ「月例速報 Market Watch」より)
今回採用したデータは、国交省が売却した方へするアンケート結果を基にしているようで、マーケットで取引されたすべてではないことをご承知おきください。
この情報が皆様のお役になれば嬉しく思います。
住宅価格は、2012年以降上がり続けていることはこれまでのメールでもお伝えしてきました。
今回は、世田谷区内の住宅価格上昇率の2012年比(2012年当時と現在の坪単価上昇率比較)について、築年数別で調べてみましたので、ご参考にしていただけたら嬉しく思います。
一般的な取引を想定し、戸建住宅に限定しています。なお、統計データは国土交通省から4半期ごとに発表される不動産の取引価格情報提供制度「土地総合情報システム」を利用しています。
※2024年3月時点の統計情報を基にします。
築年数を下記2区分に分類しました。
まず、築30年前後の戸建て住宅-①
次に、築10年前後の戸建住宅-②
です。
2012年から現在までの価格上昇率は、
①が、40%(坪単価180万から253万へ上昇)
②が、37%( 〃 220万から303万 〃 )
という結果になり、築年数に関わらず上昇していることがわかります。
これは近年のリノベーションブームも影響しているのではないかと思います。リノベーションが普及する前、住宅改装を”リフォーム”としか呼んでいない時代は、リフォームローンは7年程度の短期でしか組むことができませんでした。
そのため、築年の古い住宅は需要が低く、取引価格も落ち着いていたはずです。今ではリノベーション費用が、物件購入と同じように35年ローンで組めるようになったため、改装に大きな費用をかけて自分仕様の住宅にする住まい方が浸透し、結果築年が古い物件も需要が高まったことが影響していると思います。
採用しているデータは、売却した方へのアンケート結果を基にしているため、マーケットで取引されたすべてではないことをご承知おきください。
この情報が皆様のお役になれば嬉しく思います。