【新型コロナ】大和ハウス工業 入居者対象の賃料猶予策決定で感じる物事の進め方について
こんにちは。不動産の顧問業をしております。宅建士の田実です。
今日は、コロナ禍による不動産会社倒産(民事再生)のニュースがありましたね……。不動産業界では今一番ホテル業界が厳しい状況ですが、先日のファーストキャビンに続く2件目の倒産事例となりました。
▼exciteニュース ホテル運営「WBFホテル&リゾーツ」、新型コロナ関連で最大の倒産 https://www.excite.co.jp/news/article/Tsr_tsr20200427_001/
さて、暗いニュースだけでなく、さすがと感じた企業の対応ニュースもあります。
管理戸数ランキング全国第4位の大和リビング(大和ハウス工業子会社)が、新型コロナウィルスによる収入減少対象者に対して、最大3ヶ月間賃料の支払いを猶予する方針をいち早く打ち出しました。
コロナ禍による”家賃支払い”問題に関しては、様々な意見や主張が出ていますが、貸主と借主では利害対立する立場でありますから、どちらを保護するのか? という姿勢を問われてしまう格好になり、どの解決策もスピード感に欠けています。
そんな中、大和リビングは、入居者に対し賃料3ヶ月の猶予を与えて、最大2年間分納できる措置を実施すると発表しました。
これは、オーナーが泣くというものでも、借主側が我慢するというのでも、どちらでもありません。大和リビングが間に入って、オーナーには「当社が責任持って対応しますのでご安心ください」 借主さんには「今は厳しいと思いますので、3ヶ月は耐えて分割で完済できるよう頑張りましょう」と促しているものです。
不動産会社は、”取引を仲介する”ことしか手間を掛けられない体質ですが、大和リビングの”率先して苦労を買う対応”は、とてもまともであると思います。
さらに私が感じることは、不動産に限りませんが交渉事の進め方の大原則は、どちらか一方の条件を固めて(≒譲歩させて)、徐々に双方の乖離を埋めていくことです。
不動産売買で、良い金額で売れるなら売ってもいいという売主さんがいたとします。この場合いくらで売ってくれるか決めてほしいと言っても商談は少しも進みません。なので、まずは購入希望者を見つけて「購入希望額」を提示し、次に売主さんの条件を一歩二歩と進めていく必要があります。
その点大和リビングの措置は、オーナーが泣くのか、借主が泣くのか? ではなく、仲介者(正確には管理会社)が、なんとか調整の範囲で解決させます、と当事者でない立場の働きにより物事の解決を図ったものです。
ちなみに、賃料支払い問題について、私の考えのベースは、オーナー・借主双方の”支払い”を猶予することです。どちらかではなく双方です。まずはオーナーですが、銀行借入れ返済についてリスケ対応を銀行が率先して行う(金利のみ支払ってもらえば銀行の業績には悪影響ないはず)。
元金返済がなければ返済は軽くなりますから、賃料猶予をオーナーが承諾しやすくなります。次に借主の分納スケジュールを決める、というのが大筋です。そんな簡単にはいかないのかな? でもそれしか方法ないと思います。
GW開けの”緊急事態宣言”は厳しい見込みです。早く春らしく思いっきり外に出たいですね……。
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