自宅売却成功3つのポイント
まず、ひとつ目のポイントは前回ご案内させていただいた「売却時期」です。
住宅需要がピークを迎える春までが勝負であり、そこに照準を当てた販売計画が大切ということでした。
一点補足ですが、売買物件は契約してから引き渡しをするまでに通常2ヶ月程度の期間を設けます。そのため、3月までに引き渡しを完了させるには、1月中には売買契約を締結しておく必要があります。
繁盛期(1〜3月)に売り始めるのがセオリーということではなく、勝負の期間であるということです。しっかりと準備を整えておく必要があるという意味で、繁盛期以外に売り始めることがダメだということではありません。
次のポイントは「売出し価格の設定」です。
売出し価格(実際に売り出す価格)と成約価格(契約した価格)の差を乖離率と呼びます。
首都圏の乖離率は、6〜7%という統計結果が出ており、言い換えると売出し価格から6〜7%は価格交渉が入って成約する傾向があるということになります。
通常、売出し開始時は、価格を上乗せして開始するのが一般的です。つまり成約予測より少し高い価格を設定します。
この『少し』を高くしすぎないことが大切です。例えば1割以上高くしたとします。買い手側としては、1割の価格交渉に応じてもらえる可能性は低いと捉え、内見など次のステップに移行しようと考えにくいからです。結果反響が減ります。
相場から離れすぎない範囲で設定することが重要です。
ただし、現在のような価格上昇期には、過去の相場にとらわれず、チャレンジングな価格設定をする価値は大いにあると言えます。
最後のポイントは「物件情報を広く公開すること」です。
不動産業界の「囲い込み」について、お聞きになったことがあるでしょうか。
これは売主様から依頼した不動産業者が、自社の顧客以外には物件を紹介させないことを言います。
(なお、売主から依頼された業者を「物元(ブツモト)業者」といいます)
このようなことが起きてしまう原因は、日本の不動産取引では1社単独で契約を成立することを禁じていないことが関係しています。
一方先進諸国では、利益相反行為を助長する原因となるため、単独一社での仲介禁止を法律で定めています。
不動産売買で発生する仲介手数料は、売主買主双方が依頼した業者にそれぞれ報酬を払いますが、物元業者が買主を見つけてきた場合、双方から報酬を受け取れ、ひとつの取引でより多くの売上を得ることができます。
本来は物件情報を広く公開し、一番条件のよい購入希望者を募ることが物元業者の役割ですが、手数料欲しさに囲い込みが横行していることは悲しいことです。
「囲い込み」によって売主様が被るデメリットについては、具体例を出しながらのほうがわかりやすいかと思いますが、長くなってしまうので、次回以降でご説明させていただきたいと思います。
それでは、ここまでの自宅売却成功のポイントをまとめると、
『適正な価格設定で、広く情報公開し、繁盛期に備える』
ということになります。