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2020-02-13

建物老朽化のため次回の更新はしない旨の通知がきた①


不動産はロケーション(立地)がすべて、というのを聞いたことがあると思います。すべてとまでは言いませんが、商売を大きく左右する要因であるのは間違いありません。

いい場所に出店できたとしても、これは永遠に続くことではないですね。例えば、建物老朽化によりオーナー様が建て替えをしたいといった場合です。オーナーの要望に応じて、明け渡ししなくてはならないのでしょうか?

これは分けて考える必要がありますが、ひとつは紳士的な対応をする場合とそうでない場合です。借地借家法では、貸主からの解約には、正当事由が必要とされています。この場合の正当事由とは、オーナーがこの建物を必要とする事情です。

耐震性が心配だというだけの理由では、この正当事由には当たりません。よって、紳士的な対応を取らないのであれば、金銭的給付による合意解除、いわゆる立ち退き料(営業補償含む)を請求して、合意を取るという手段があります。

クライアント先がテナントとして借りている店舗で、やはり耐震性により次の更新(3年後)の時は、更新せずに解約したい旨の通知がありました。当該店舗周辺は、店舗物件の総量が少なく、また空き物件の流通も少ない地域でした。困ったものです。

まずはその通知に対し、クライアント様と同行してお話を伺ってくることにしました。オーナー様は、クライアント先が借りている店舗建物を、建て替えてご家族の自宅を建てたいというご計画をお持ちのことがわかりました。

当方としては、迷惑かけないように応じたい旨はお伝えしましたが、いかんせん移転先がなければ大変なことです。なので、基本的には時期満了と同時に明け渡すよう努力するけれども、移転先の状況によっては多少の猶予をもらいたいとだけ伝えて、その日の打ち合わせは終わりました。

3年とは早いものです。その間、幾度とオーナーへ連絡を取り、こちらの状況をお伝えしたり、建築中に現場前の小スペースでいいので、プレハブの仮店舗を建ててもらう案などを提案したり、とあらゆる方向で紳士的に相談してました。

すると、残り半年くらいのタイミングで、建て替えの計画を延期する、という連絡が入りました。諸々の事情があって決めたようですが、移転先は見つかっていなかったので、とりあえずは一安心です。

交渉事に絶対の方程式はありませんが、この事案は友好的にオーナー様のご事情を汲みながら行動していたことが、このような結果を招いたのかもしれません。

タイムリーにそして紳士的な対応をすること。交渉事に限らず、社会活動では大切なことではないでしょうか。”当たり前のことを当たり前にやる”これこそが顧問業務の姿勢として大切だと感じた事案でした。

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