上階からの水漏れ事故①
クライアント様が、テナントとしてお借りする店舗の上階から、水漏れ事故が起こりました。
原因がわかれば対処するのは難しくありませんが、今回は誰が起こしたか、何が原因で起こったのかが判明しませんでした。誰が起こしたのかわからないと、保険利用の目処がつきません。
上階の方へ洗濯機のホースが外れてしまったことがないかを確認しても、なにもしていないという。このような事故の場合、加害者が契約する”賃貸総合保険”を利用することになりますが、否定されているので利用できない。
まずは原因究明をということで、建物管理側の工務店さんにより現場調査や排水管内のビデオ撮影により、漏れたであろう箇所を特定し、修繕することになった。確たる安心はなかったものの、その後の漏れは生じていないので一安心した。
しかし、問題はここからだった。クライアント側には実害がある。床のタイルカーペットは濡れてしまい、それによってシミのように跡が残ってしまった。当方は接客業であり、このままではみっともないし、それにクレンリネスの評価項目で代理店親会社からマイナスポイントを付けられてしまう。
交換しなくてはならないので、修復の費用負担を建物オーナーに要求したのだが、首を縦に振らないという。なぜなのか?
通常、建物オーナーはこのような設備故障による、テナント(入居者)への賠償責任に備えて、損害保険に契約しているはずだ。テナント側は、損害保険について、初回の賃貸借契約のときに加入するため漏れはないが、オーナーについては、入っていないケースが稀にある。
任意保険であるからオーナーが損害保険に入らないことにについて問題はない。しかし、損害を被った側としては困る。今回のように、原因がはっきりしない水漏れ事故の場合、建物オーナーが責任もって賠償してくれない限り、テナントとしては対応のしようがない。もしかしたら、オーナーは当該テナント区画上階の方のヒューマンエラーによって生じたのだと思っているからかもしれないが。
こちらもせめて誠意持って修復負担をお願いしようということで、クライアント先の社員様と同行の上、オーナー様宅へとアポイントを取って伺った。
「保険を利用していただけたら、オーナー様の負担は基本的にはないです。損害保険には入っていらっしゃいますか?」とお聞きしたところ、拍子抜けした様子で、「え、そうなんですか?」とびっくりされていた。
その後は、とてもスムーズにことは進み、クライアント先がいつも依頼している内装業者によって修繕を実施し、元通りきれいにすることできた。
あの時、電話で保険加入について、確認すればそれで十分だったのかな、とも一瞬頭によぎったが、入っていない場合はやはりお願いすることになるし、それに、なにより足を運んで顔をつき合わせて話すことの大切さもあっただろう。
オーナー様とテナントの関係は、利害関係は対立するものです。しかし、アクシデントが生じたときに対立しないよう日々丁寧に接しておくことが大切だな、と感じた一件であった。
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