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2017-07-14

オーナールーム付き賃貸マンションは建ててはいけない



こんばんは、田実です。

このところ生活習慣が原因だと思われる身体の不調に悩まされてます。。悩むこと数ヶ月を経て得た手がかりは、”摂ってはいけない食物を知る”ということ。本を買い、まず知るところから行動し始めたところです。

街を歩いていると「これはやってはいけないな〜」と思うことがあります、不動産建築のことだとよく気づくわけです^^; 予防について相談できるお医者さんってもっとあっていいのでは?と感じます。そして不動産って医療より相談しにくいものじゃないかな、とも思います。
ということで、不動産の予防医療なるものをこれから書いていきたいと思います。どうぞ宜しくお願いいたしますm(_ _)m

第1回は、”オーナールーム付き賃貸マンションは建ててはいけない” です。

オーナールーム付き賃貸マンションとは、ひとつの建物に自宅と賃貸用の部屋を一緒に設けた建物のことです。商業地(容積率の高い地域)に多く、最上階にオーナー住戸、低層階が賃貸区画となったものが典型的です。

なぜいけないのか??

1 収入(売上)が減る
2 最上階は家賃が取れるのに…
3 売却するときの評価が下がる
4 オーナー区画は市場価値が低い

▼収入が減る

賃貸住宅を設計するときはレンタブル比を上げることが第一義です。レンタブル比とはその土地でよりたくさんの賃貸面積(収益を稼ぐスペース)を確保したかを測る物差しですが、自宅(=収入を生まない部分)を一緒にしてしまうことで、本来得られる賃料(=売上)が減ってしまいます。

例えば、それが飲食店として、本当は月100万円の売上が見込める立地のなのに、準備を怠って(仕入れとか)80万円にしてしまう、そんな例とも言えます。

▼最上階は家賃が一番取れるのに…

原則として、マンションは上階にいくにつれて賃料が高くなります。反対に事務所・店舗ビルの場合は上るほど賃料がとれません(人気がありません)。一番稼げる場所を自分で使ってしまってはダメです。

自宅部分をメゾネット(例、10階建てで9,10階)にする、なんてケースはよく見かけますが、おすすめできる活用案ではありません。賃貸マンションを計画するなら床面積すべてを賃貸(賃料上げる)部分にする、自宅がなくなるなら別の場所に確保する、がセオリーです。

▼売却するときの評価が下がる

毎月の売上が減ることは上の通りですが、売却したいと思ったときに評価が下がってしまいます。投資用不動産は「利回り」で値段が決まりますが、

単純利回り(不動産実務では表面利回りということが多いです)6%が売却相場の場合、
・月額100万円の賃貸マンションならば、2億円が売却査定額となり、
・月額80万円で計画してしまったなら、1.6億円が査定額です。

<計算式>100万円/月額 × 12ヶ月 = 1,200万円/年額 1,200万円 ÷ 0.06% = 2億円

たった月20万円の差が売却の査定額で4,000万円の評価損になってしまうわけです。

▼オーナー住戸は市場価値がない

こだわって作った自宅でも投資の観点からはただの広い家…です。その上売却するときには年数が経過しているため、新築志向の強い日本では好まれません。自宅部分は改装費用が値引きの材料にされる、というのが不動産取引の交渉実務です。

もちろんすべてのオーナールームマンションが悪いのではありません。僕自身も有活提案をしていたころにお客さんに建てていただいたことがあります。今でもうまく運営していらっしゃいます。ケース・バイ・ケースであり、資産背景と目的によってはマルです。


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