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最善の不動産ソリューションを目指して

ずっと地に足ついた稲穂のようでありたい

社会に出て3年経過した頃、私はジレンマを抱えていました。

当時、私は土地活用(賃貸マンション建築)提案の営業担当で、担当エリアから遠く離れた土地でアパートを建築したいというご相談案件がありました。

この場所で建てたら、今は決まっても近い将来入居付けに困る。建てるより売却して、賃貸需要の強いエリアの賃貸物件に買い替えた方がお客様のためだろう…そう思いました。

しかし、私の部署は建築提案の部署だから、その提案は許されるはずがありません。売買の部署につないでしまっては、せっかくの建築案件を逃すことになるので上司からは許しがおりません。

ジレンマを抱えながらも特に行動を起こさず2年が過ぎました。やっぱり建築にとらわれた提案では窮屈すぎる。資産運用のための土地活用営業なのに、建築しか提案できないのは、釈然としない。

私は売買仲介への職種変更を希望し、しばらくして異動することができました。

賃貸の需要に左右されない売買仲介は自由度が高く、充実度も高かったと記憶しています。土地を評価する軸が”賃貸マンション”の1点張りから、自宅などの自利用地に始まり賃貸用の投資用地、そして法人が利用する事業用地などへと幅が拡がりました。これこそ不動産の醍醐味だと感じていました。

しばらくして収益物件(投資用ビル・マンション)を扱う部署に移りました。お客様はいい物件(=安く買える物件)を紹介してほしいという方がほとんどでした。安く収益物件を購入できれば、安定的な家賃収入を得られ、経済的自由を得られるからです。

お客様のほとんどは当社1社に限らず、複数の業者に物件購入を依頼するのが普通です。それは数多く依頼した方が、優良物件が見つかる確率が高まるからです。

私は空虚感を感じました。特に購入物件を紹介する仲介のポジションでは、自分自身で解決策を生み出すことができません。頭でいくら考えても逆立ちしても私の中から物件は出てこないからです。購入希望者へ物件提供する仲介者では、最善策を示すパートナーになりえない、それに気づいたとき仕事のモチベーションが一気に下がってしまいました。

不動産課題に対して、最善の方法を示せる立場はなにか……

その後は部署異動もあり、プレイヤーからマネ―ジャーへと役割が変わったことで、考えることも決めることも処理することも多くなり、不動産業の理想を追う余裕もない時期が続きました。

そして、数店舗を指導するスーパーバイザーへと役割が増えると、また空虚感を感じました。ただお客様から「ありがとう」と言われたい。現場で活躍したい。

わたしは、2015年に13年勤めた会社を退職し「田実宅建士事務所」を設立しました。当社は、”不動産取引の主役を、ユーザーに” をモットーにしています。この業界では、未だに業者のスタンド(自己中)プレーが横行していると思うからです。

現在は、不動産の最適解を示せる立場として、売買仲介、企業様からは不動産顧問として、またオーナー様からは賃貸経営を任せていただくようになりました。お客様のパートナーなる不動産事務所を目標に活動しております。

余暇でも仕事でも不動産が私たちに与える影響は少なくありません。弊社は、よりよいサービスのための努力は惜しまず、最良の問題解決のご提案を心がけております。

株式会社田実宅建士事務所 代表 田実省二郎


日々の出来事を自由に書いています。良ければ御覧ください。