“店舗探し”で学ぶ交渉術①
私が店舗探し代行業務を行う上で、必ず生じる「交渉事」について、まとめていきたいと思います。
「交渉」と言うと、とてもテクニカルな内容を想像しますが、決してそういうことではありません。「確認作業」と表現した方が、実際行っている行為に近い感覚があります。
歩み寄れる条件を探す作業
まず、店舗探し代行業務の一環で行う「交渉」とは、相手を論破することが目的ではありません。先方と当方の希望条件の歩み寄れる箇所を模索して、最終的には合意(契約)させることが目的となります。
私の中で”交渉”とは、”歩み寄れる条件を探す作業”と言い換えられます。歩み寄れる要素を見つけるためには、まずお互いの条件項目についての強弱を把握することがとても大切です。それがすべてといっても過言ではないと思っています。
具体的には、先方が強く希望する条件要素は何か? を聞き出すこと。加えて、当方が譲歩できる条件要素と絶対に譲れない条件要素とを整理する作業こそが、交渉フローで大事なことです。
当方の優先順位付けについては、事前にできることです。自らが責任を持てる立場であれば、そのプロジェクトの目的によって自ずと決まるでしょうし、責任者(決定者)が上司などである場合には、交渉の段階までに、社内および上司への根回しやコンセンサスを取ることで、優先順位の順位付けは可能になるはずです。
具体的には、店舗探しにおける条件の要素とはどんなことでしょうか? それは、賃料・契約期間・中途解約におけるペナルティ・保証金(or建築協力金)の金額・借主の使用用途・プロジェクトに要する出費の総額……などが挙げられます。
一にも二にも”優先順位の把握”
これら条件面について、先方はどの部分を重視するのか? 交渉を進捗させる中で確認していくことです。決してやってはいけないのは、先方の優先順位を把握できていない段階で、当方の条件提示をしてしまうことです。
交渉事における各条件要素は、貸主と借主では利害が正反対のものであります。正反対の要素について、1項目ずつ確認して、歩み寄らせていく慎重さが大切であり、イメージとしては、条件項目全体の半分程度の優先順位が確認できた段階で、核心部分の条件提示をするのが定石であると言えます。
また、最後になってしまいましたが、先方の当該プロジェクトにおける背景を知ることはとても重要なことです。
背景を知って、条件の強弱を整理していくこと。これが”交渉”において、まず大切なことだと思っています。
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