店舗・テナント物件の探し方〜未公開物件の見つけ方・不動産業者の選定から営業さんとの接し方まで〜
優良なテナント(店舗)物件を見つけることはとても困難なことです。やみくもに不動産業者に訪問してもいつまで経ってもいい物件は巡ってきません。不動産は”1にロケーション2にロケーション”と言われるくらいに立地が重要な要素であり、優良テナント(=いい立地のテナント)を探す希望者が多いからでしょう。優良物件を手繰り寄せるには、情報のあるところへアプローチを続けること、営業担当者とうまくコミュニケーションを重ねることの2つが重要です。
優良物件を見つけにくい主な理由は、
- 優良テナント物件は業者間で情報を共有しない
- ネットで公開されない
- 現テナントの「閉店」はネガティブイメージのためや公開範囲が限られる
- 店舗を得意にしている不動産業者が少ない
- そもそも担当者から連絡が来ない…etc
店舗物件情報を探すにはコツがあります。ここでは最短で物件を見つけるために大切なことを解説していきたいと思います。実際に私がテナント探しをする際の注意点やポイントをまとめたものです。ここに記したことを実践すれば、これまで全く物件紹介が来なかった状況から、物件情報が来るという状況に変化するはずです。ぜひ実践してみて下さい。
テナント優良物件を探す5つのコツ
目次
コツ1 未公開物件にアプローチする
他のどのコツよりも”未公開の情報を探し続ける姿勢”これが一番大事です。未公開物件とは不動産業者間で共有していない、ネットにも公開されていない物件情報のことを言います。
未公開物件には大きく分類して2種類あると私は思っており、ひとつは募集中だけどその情報を持っている業者が1社だけもしくはごく少数という場合。もう一つは「借り手がいるなら賃貸を検討する」というような潜在的な案件のふたつです。
未公開物件1 募集中のネット非公開物件
出回ってない物件を他の人より先に掴むことができ契約できれば、その場所での店舗運営はほぼ成功した、といっていいかもしれません。それくらいに店舗運営で”立地”は重要ですね。しかしその反面そんな優良物件をつかむことはとてもハードルが高いこと。
まず心に留めておいていただきたいこと!それは”不動産業者に任せるだけではダメだ”ということです。まず出店したいターゲットエリアを実際に歩いてほしいのです。すると意外にも”テナント募集中”の現地広告を見つけられるはずです。
優良物件の場合、その情報元の不動産会社は”不動産業者向け”には情報公開せずに、実際に借りてくれる方にしか公開しません。なぜならその方が手数料が多く取れるからです。
また、近くで繁盛している店舗がより良い場所・もしくはより広い場所へ移りたいと計画していることも非常に多いです。不動産物件は店舗に限らず、その物件が良ければ良いほどその物件周辺の方で決まる(借りる or 買う)ものです。そのため”現地広告”はセオリーの広告手段です。
このような”情報が公開されていない物件”を見つけるためにまずしなければならないこと”現地を歩くこと”です、車はダメです、見落としますから。
次に見つけたい情報は”現在は営業しているけれど半年後に退去する”という情報です。この場合は現地広告するわけにはいきません。このケースで情報を仕入れることができるのは、取り扱い元の業者と懇意にしているお客さんや偶然その業者に訪れた希望者です。
オーナーは通常親交の深い不動産業者に管理を任せていて、オーナー毎その業者はまちまちです。このような未公開物件を仕入れるには、数多く業者(=管理している会社)訪問しておくことですが、時間は有限ですしとても非効率です。
なので、わたしがオススメするのはまず現地を歩く、現地広告看板を見つける、見つかればその場から連絡する、その次に不動産業者へ訪問しましょう。そして業者へ訪問したら、次は自ら発掘して掘り起こす動きをしましょう!
未公開物件2 潜在物件
潜在物件とは、現在は賃貸物件ではないけれど貸してもらえるようにアプローチして浮上させる物件のことと私は呼んでいます。自らアプローチすることは困難ですから、頼れる不動産業者を介在して交渉することが多いでしょう。
例えば、繁盛していなそうな個人店であったり、ビルの1階にオーナーが酒屋を営んでいる、どうやら後継者がいなそうだという店舗。あるいは建築看板(中高層建築物のお知らせ看板)からオーナーにコンタクトを取る…etc というようなルートです。
少し前に大手コンビニチェーンがブランド統一により店舗の統廃合をするというニュースがあったと思います。このときは統廃合される対象店舗をマークして直接アプローチを試み商談に乗せるということもしました。
というように、これをすれば必ず物件情報が得られる!という必勝パターンは実はないのですが、出店したいエリアを歩いて街を見て違和感をキャッチして丁寧にコンタクトを取る。これを続けることがとても大切です。
コツ2 依頼する不動産業者を選定する
情報を得るにはできるだけ多くの不動産業者に依頼することがまず大切です。しかしただ闇雲に業者に依頼しても無駄ばかりになってしまいます。なぜなら不動産業者にも得意不得意や会社の方針で力の入れ場所が異なるからです。
大手財閥系不動産会社は住宅を主戦場にしていますし、賃貸専門仲介会社もやはり住宅がメインです。店舗専門の業者には一定の競争力がありますが、エリアや探す物件によっては完全ではないので、相談する複数のうちの一業者にしか過ぎないというレベルです。
例えば丸ビルに出店したいと思ったとします。その時に街の不動産屋さんに相談する人はいないと思います。やはり丸ビルを管理している会社に直接アプローチするのが望ましいですよね。このようになるべく情報の川上にコンタクトすることが必須です。客付け業者より物元に。物元より管理会社に。管理会社よりオーナーに、という風に。
どの不動産業者がそのエリアに強いのか確率が高いのかという見当がつかない立地やターゲットの場合は正直1件1件訪問するしかないです。私もそうしてます。お店に入って「店舗を探している」と相談したときの相手の対応でよきパートナーになるのかそうでないかの感触がつかめるはずです。
コツ3 営業担当者を味方につける
コツの3番目は、営業担当者との付き合い方についてです。不動産仲介営業担当者の気持ちを理解してあげることが重要です。
ビジネスパーソンは皆忙しいと思いますが、とくに不動産仲介営業は成約件数のノルマに追われていたり歩合制だったりと、とにかく効率よく契約件数を稼ぎたいと思っています。そのために大事なことは、担当者からの電話にはなるべく出る、メールは必ず返信する、そして物件紹介を受けたら、かならずいいところ悪いところを伝えて営業担当者と自分のイメージを同じにすることです。また探す方自身ですべてを決められないような場合には、あなたと決裁者が近いことを伝えなくてはなりません。営業担当は、伝書鳩のような人とは成約が遠いと感じるので時間の無駄と考えてしまいます。あなたが決裁者でない場合でも「夕方に上席の判断を仰いて18時までに連絡します!」などと約束するのがいいでしょう。
このように接することで、営業担当者は「この人は自分で物件を決めてくれる人だ」と認識してようやっと見込み客になるわけです。特にいい物件がほしいという希望者はあなた以外に山ほどいるのでほかの希望者よりこちらのオーダーを優先してもらえるようにしなくてはなりません。
このように営業担当の方と丁寧に対応するのがとても!重要なことです。「借りてやる」というような横柄の為になってあげたいと思いますか?思いませんよね(^^)
コツ4 競合先を知って勝つためのポイントを探る
ここからは物件紹介されたけれど競合先がいる場合の注意事項です。
えてして優良物件には複数のオファーが入り競合します。この場合、オーナーに響く契約条件はなにかを念頭にして競合先を把握することです。業種、年商、営業時間、、、など。仮にそのテナントの最上階にオーナーが住んでいたとします。この場合煙が出るような飲食店舗は嫌がるでしょうし、24時間営業の業態も敬遠するでしょう。例えばコンビニの跡地のような物件の場合は、賃料が一番と考える可能性が高いです。このように競合先の状況とオーナーの判断基準を想定あるいは引き出してこちらのオファーで響く点をアピールするわけです。
商談に乗ってからスムーズに交渉を進めていけるかどうかは、商談に乗るまでにいかに営業担当を気持ちよくして味方につけられているか、これがとっても大切です。なので丁寧にコミュニケーションしておかないといけないのです。
コツ5 貸主(オーナー)に気に入ってもらう
競合した結果、申込み条件がほかの希望者と同条件(賃料・契約年数など)だったとします。こうなった場合はオーナーはどちらを選ぶでしょうか?
まずは安定性。オーナーは安定経営を一番望みますので、これに答えられる材料が望ましく、テナントの実績や資本金(資金力)などでしょう。この地域で何店舗あります、と身近に感じてもらう材料があればなおいいです。
次に印象です。だらしない格好で内見に言っては悪い印象を与えています。高価な装いもよくありませんので、清潔な格好で内見に臨むことが重要です(内見にオーナーが立会う場合がありますが、このような場合はいい印象を与えられるチャンスだと思いましょう)。
最後に商談の進め方です。物件が良ければ素直に「とても気に入っています、前向きに検討させていただきます」という言葉は伝えたほうがいい場合が多いです。オーナーも物件を好んでくれる方に借りてもらいたいと思っています。あまり気に入っていることを伝えると、交渉がうまくいかないのでは?という意見がありますが、契約条件と意思表示は別とわたしは捉えていて、「気に入りました、しかし条件は十分に検討させていただきます」というのが、オーナーにも良い印象を与え、しっかりした借り手さんだという印象を与えます。繰り返しますが、オーナーは基本的に「安定経営」を臨むからです。
まとめ
コツ1 未公開物件にアプローチする
未公開物件を業者から紹介されるのはハードルが高い。対象エリアの街を歩いて借りたい場所や自分たちが借りたらオーナーも街の人の喜ぶだろう!という物件に照準を合わせてアプローチする。「あそこの酒屋が空いたら借りたいのですがオーナーさんとはお繋がりありますか?」と業者に訪問した際に尋ねる!
コツ2 依頼する不動産業者を選定する
大手だから情報量がある、ということではない。そもそも店舗に強いのか?店舗でも対応できるのかを見極める!1件1件しらみ潰しに訪問するのもセオリー。大切なことはその業者が情報の川上にいるのかどうかを見極めること。
コツ3 営業担当者を味方につける
仲介営業担当は多忙。手間を省きたがると思って接しましょう。なので携帯番号を教えて、連絡が来たらなるべく出る、出られなくても折り返す。横柄はもってのほか、優しく丁寧に接すること。
コツ4 競合先を知って勝つためのポイントを探る
競合相手がわかれば戦略が立つ。競合相手を教えてくれるか、有利に進めてもらえるかは、営業担当者とのそれまでのコミュニケーションが重要。
コツ5 貸主(オーナー)に気に入ってもらう
気に入ってもらうことが選んでもらうことの必須条件。迷ったら好きな方を選ぶのは当然のこと。
弊社では店舗探しから契約条件の折衝・契約までを代行するサービスを得意にしています。お問い合わせなどはこちらからお願いいたします。