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2020-04-08

敷金精算のポイント② 善管注意義務とは?


■ 今回の記事は、次のような方のために書いています。
⇒ 借主の方に、敷金精算(交渉)を自ら行おうとしているオーナー様
◎ この記事を読むと、次のようなことがわかります。
⇒ ”善管注意義務”についてわかります。

契約終了時には、オーナーは借主の方に”原状回復”に伴う費用を請求することができます。原状回復費用として、オーナーが借主の方に請求できるのは、自然損耗や経年劣化を除いて、借主の方の「わざと・うっかり」生じさせてしまったキズや損耗についてです。これが大原則です。

しかし、借主の方が”善管注意義務”を果たしていないと認めれられる場合は、この原則通りでなく、程度に応じた請求をすることができます。

では、善管注意義務違反とはいったいなんでしょうか? 平たく言うと、『借り物はよく注意を払って、使用しなければならない』という、他人からモノを借りる方に課された義務のことを言います。

善管注意義務は、民法第400条で定められています。民法は、法律関係の最も基本的なルールであり、貸主・借主間で締結する建物賃貸借契約にもこの善管注意義務が生じることになります。

『善管注意義務』善良なる管理者として、注意を払って使用する義務

では、借主の善管注意義務違反となる場合はどのようなことを言うのでしょうか?

例えば、日常の清掃を怠ったことが原因で状況が悪化した汚れは、善管注意義務違反ということがあてはまると思います。あるいは、エアコンの故障により、水漏れが生じたとします。

設備は完全ではなく、故障してしまうことは起こり得るため、起こってしまった場合は放置せずに、水漏れについて借主としてすべき対応をしなければならない、というのが善管注意義務の考え方です。

水漏れしてしまっているのに、それを放置したことで床材に腐食が生じてしまったとしたら、その修繕費用の一部は借主に負担させるのが適当です。

したがって、建物賃貸借契約に置ける”善管注意義務違反”とは、「手入れを怠って生じたもの」や「不注意によるもの」「通常の使用とはいえないもの」と言い換えることができます。

その他の具体例として挙げれられるのは、
・冷蔵庫したのサビを放置した床の汚損 ・引っ越し作業で生じたキズ ・不注意で飲み物をこぼしてしまって手入れ不足により生じたカーペットのシミ ・結露を放置して拡大したカビ ・喫煙によるヤニ等で生じたクロスの変色や匂いが付着している場合 ・天井に直接付けた照明器具の後 ・落書き
などがあります。

つまり、物件を借りている方には、起こったことに対してふさわしい掃除をすること。あるいは、状況が悪化しない対応策を講じること。これらの義務が法的に生じていることになります。

まとめると、原状回復の負担は、「故意・過失(=わざと・うっかり)」のみ借主負担。しかし、善管注意義務違反が認められる場合は、ケースに応じた借主負担を検証して請求すること。

以上が、原状回復負担交渉の基本的基準となります。

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