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2020-04-02

”店舗探し”で学ぶ交渉術③


学ぶ交渉術の第一回は、主に”優先順位の整理と把握”が大切であることに触れました。第二回は、信用を得て”信頼関係を構築するためのコミュニケーション”について書きました。

第三回は、”契約の目的をイメージし続けること”についてです。こちらではなく、先方(=貸主・オーナー)の”契約の目的”についてです。

オーナー(or 貸主)が賃貸経営をする目的はどんなことでしょうか。 例えば、地主様が所有される物件であった場合、昔その場所に住んでいたことがあり、近隣住民の方へ迷惑を掛けないテナントに貸したいという事情があったとします。

このような場合であれば、夜間の騒音が想定されるテナントは敬遠されるでしょう。例えば、他のテナント候補と競合している場合に当方の押すべきポイントを、把握して交渉するのとそうでないのとでは攻めどころが変わってきます。

入居交渉をする物件が、これから新築される物件であった場合、オーナーの不安な部分は”ローンの返済”だったりします。返済が困らないためには、オーナーとしては、テナントが長期で契約してくれることですが、テナント側にとってはトレードオフの条件であり、両方の都合を適えることはできません。

テナント側の事業計画を精査した上で、中途解約のペナルティを提案するなどすればオーナーとしては、短期解約のリスクをいくらか解消させることが可能です。

商業施設テナントの場合は、オーナーはプロとなります。契約の目的は、賃貸稼働率の向上であることは言うまでもありませんが、やはりその場所を賃貸するにあたる背景というものが必ずあります。

例えば、自社ブランド商品の販売スペースであった区画を、成績不振を理由に、テナント賃貸へと貸し出すことがあります。この場合は、当該商業施設に既に入居するテナントと競合しないのが最低限求められる条件になります。たこ焼き屋さんの目の前に焼きそば屋さんを出店させるわけにはいきません。

さらに言えば、その商業施設自体の価値が上がるような(来館者が増えるような)業種であることが、オーナーが求めるテナント先だと言えます。

このように、オーナー(=貸主)が賃貸をするに至った”背景”が必ず存在し、これを念頭に商談をしていくことが、後々の交渉をスムーズに進められるかどうかの鍵になることがわかります。

このようにしてオーナーの”契約の目的”や”案件背景”を把握した上で、当方が相対的に競争力が弱いと判断すれば、あきらめるもしくは、他より強気の条件を出すという戦略が立ちます。

”契約の目的”をイメージし続けることは、交渉を有利に進めるという側面もありますが、なによりオーナーの求めるものを理解して、長きに渡り借りるテナントでありたい、という姿勢からすれば、当然のことでもあります。

交渉の過程では、オーナーと直接接することは少なく、ほとんどが仲介業者が間に介在していると思います。直接話せないからと言って、オーナーの考える”契約の目的”が把握できないわけではありません。

仲介業者担当者とオーナーが、どんな目的を持っていらっしゃるのかをこちらがイメージして、やり取りすれば見えてくるものが必ずあります。このブログで繰り返し書いていますが、条件提示をする前の段階で、その商談の5割の成否は決まってきます。

”契約の目的”は、オーナーにとって絶対欠かせないものであるがゆえに、テナントにとっては、条件交渉の強弱のポイントを知る大切な要素ということができます。

弊社では、店舗物件をお探しするお客様の代理人となり、物件を探して契約締結まで行う業務を行っております。公開された物件情報には、優良な物件が少なく非公開の物件を探してくることが、早期に見つける鍵となります。


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