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2019-12-10

賃貸物件の経営指標は、入居率が正解?それとも稼働率平均??


2019年稼働実績

2019年稼働率92.1%

2019年1年間の稼働率を調べました。PM会社としてこの数値(稼働率)を上げることが、クライアントに対する弊社のパフォーマンスとなる。

結果は92.1%であった。合格だとはまだまだ言えない。しかし、2016年に前管理会社から引き継いだ時点では稼働81%だった状態から3年かけて徐々に徐々に上げてきたので、結果は出せている。

毎月の収支レポートを見返しながら、数字を入力して稼働率の実績が出た。すると疑問が湧いてきた。この数字は高いのか低いのか?

(参考)”稼働率”でなく”入居率”について深堀りした記事『PM会社のリーシング力は[入居日数÷365日]で計算された”入居率”が最もシンプルな指標』2019.12.31 up

稼働率は、地域によって異なる・物件によって異なる……などひとくくりに比較はできないと思うが、弊社の管理物件は世田谷区・目黒・杉並・文京区にあり、アドレスは申し分ない。

しかし、稼働賃料の大部分を締めている1棟物件3棟のうちの2棟は、駅徒歩12分の3点式ユニット収納なしワンルーム・駅徒歩15分の1LDKと簡単に客付けできる物件だとは容易に言えない。

都内の賃貸物件空室率14.5%!?

改まって世の中の賃貸物件の空室率が気になったので、パソコンで調べてみると、LIFULLホームズの”見える賃貸経営”では、東京都内の賃貸用物件の空室率は14.5%とという。

さすがにこれは現実を捉えた数字ではないと思われる。いわゆる放置された空き家も含まれているのではないだろうか?目黒にいたっては、28.2%というからこれも信じがたい。

参照:LIFULL HOME’S 見える賃貸経営「全国の賃貸用住宅の空室率一覧」

来年は稼働95%超え、空室率5%未満を達成したいと思う。そのため、3冊amazonで「満室経営バイブル」のような書籍を購入してみた。とある本に入居率97%超を謳われたものがあったので早速読んでみたのだが、空室のカウントが大雑把である。

部屋数空室数空室率満室率
1150室4室2.7%97.3%
2150室5室3.3%96.6%
3
全1,800室50室2.8%97.2%

仮に同じ1月のある部屋で月初に退去があり、月末に新入居者が決まった場合のカウントは空室0室とカウントされているのだろうか???

いずれにせよ高い数値であると思うが、本来満室賃料を分母とし、回収できた(発生させた)賃料を分子にして成績を評価するのが正しいと思う。入居率というより稼働率。弊社はこの稼働率こそPM会社として評価される指標だと考える。

実はこのような考えを巡らせたのは、数字のとり方によってこの稼働率を良く見せることができることに気づいたからだ。

ここで弊社の管理物件の稼働率を各物件ごとにまとめたものを見てほしい。

各物件の稼働率を平均すると見かけの数値が良くなることがある

稼働率一覧 トータル平均値
2019物件毎の稼働率一覧

物件ごとの稼働率(回収賃料÷満室時賃料)を出したのちに、稼働率の平均値を算出すれば、稼働率(平均値)は96.9%という結果になる。

これはなぜかと言うと、物件D〜Gは分賃(分譲賃貸)物件であり、1室だけの管理を請け負っている。この4物件ともにこの1年間は退去がなかったので稼働率100%となった。

7物件のうち4件が100%稼働であるため、他の数値もそれにつられて100%に近くなる、稼働率の平均値だから。しかし、これは採用にするに値しない。

前述したように、「稼働賃料を満室に近づけること」これがシンプルなPM会社のミッションであるため、この全体平均値をベンチマークにする理由はない。

ところで、稼働率92〜93%ではクライアントからすると、ここからPMフィー(管理手数料:相場は3〜5%)が引かれてしまうため、賃料収入は90%を下回ることになる。

サブリースの方が得??

一括借上げ(サブリース)の料率は85〜90%であるため、稼働率92〜93%では一括借上のほうが得する、というギリギリのライン。借上げの場合は、入居者からの2年毎の更新料がサブリース会社の収入となってしまうなど、細かなことはあるため平たく比較はできないが、PM会社としては95%稼働はボーダーラインと心得なければならない。

(補足:一括借上げについて)通常、新築時のときしか借上げ(サブリース)にするかどうかは選択できない。サブリースでは、オーナーからサブリース会社が全室借りるため、借主の賃貸借契約の相手方(貸主)はサブリース会社となる。そのため、礼金はオーナーの収入にならない。更新料も同じ(これが大きな損失)。
反対に支出面では、広告料の負担はサブリース会社負担であるし、会社によっては原状回復(クロス張替え・ハウスクリーニング)まで業者負担で設定しているものもある。
新築時が一番空室に困らないので、新築のときしかサブリースを請けないというのは業者からすると理にかなっているシステムだと言える。

蛇足と思いつつ、とはいえ記しておきたい。クライアントの依頼していた以前の管理会社から引き継いだ翌年は+300万(2016-2017)、その翌年は+120万(2017-2018)、そして今年度も+150万稼働賃料を上げている。

空室期間を最小限にすること(早くから募集開始して、早くクリーニングアップさせて、次の契約者を早く決める)、そして物件が理由で退去することがなきよう、入居者さんからの要望・クレーム対応はスピード対応を基本とする。ここまでは基本的なところ。

来年度は閑散期(4月〜8月)に退去にならぬよう、繁忙期前(12〜1月)に退去してもらうよう攻めの提案もしていこうと思う。

来期は97%以上を目標・95%はボーダーラインとして策を練っていきたい。もちろん稼働賃料ベースで。


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